AIの美空ひばりに忖度する時代に出版された「美空ひばり」

2019年の紅白歌合戦の目玉(?)企画として、コンピューターグラフィックスで姿かたちを作り、その衣装は森英恵氏がデザインしたものを忠実に再現し、その動きを作るために歌手の天童よしみさんに協力をあおぎ、肝心の声についてはヤマハが製品化している「ボーカロイド」の技術を使って、細かなニュアンスまで再現したとされる「AI美空ひばり」の出演が決まったことがニュースになっています。

先日はその様子を紹介したNHKスペシャルが3回目くらいの再放送になり、恐らく紅白歌合戦の本番で披露されるであろう秋元康氏がプロデュースと作詞を担当した新曲を番組の中で2回同じものを生伴奏とともにNHKのスタジオに人を入れて披露しているところが紹介されていました。

その内容を見ていて何より違和感を持ったのは、司会のNHKアナウンサーが激しく泣きじゃくってAIの登場を紹介し、これは怪しい新興宗教の集まりか、参加者を運営側がリードする催眠不安商法の会場かと思えるくらいの賞賛の嵐に終始していたということです。

一応番組ではお亡くなりになったアーティストを人工的に再現することへの批判があるという点については紹介していたものの、ちょっと美空ひばりさんへの想いが一方向を向き過ぎているのではないかと見ていて思ったのですが、たぶん紅白の当日にも賞賛の嵐に終始するのかと思うと、もっと多くの人に美空ひばりさんの別の面から見た姿を見てもらいたいと思えました。

たまたまテレビを見た後、アマゾンの本の検索て「美空ひばり」と入れてみたところ、12月19日に竹中労さんの「美空ひばり」が「降臨 美空ひばり」という題名で新規発売ということになるようなので、とりあえずここで報告します。古本でも手に入るものの、古本自体に違和感を持つ人もいると思いますし、今回の紅白歌合戦につながる流れの中で、「美空ひばりという人はどんな人なのだろう」という興味がわいた方には、多少竹中労さんのファンとしてのフィルターがかかっているものの楽しく読めるのではないかと思います。

私自身がこうしたブログでいくら紹介しても、実際に竹中労さんが書いたものの方が多くの人に訴えかけるものも多いと思いますので、今回の出版によって多くの人に竹中労さんの書いた美空ひばりが読まれることを期待したいと思います。

(2020/3/9追記 Kindle版が出ましたのでLinkを追加しました)

(2020.6.15追記)

上記書籍販売元の晩聲社へのlinkを追加します。この晩聲社は、ちくま文庫「ルポライター事始」の最後にある「竹中労の仕事」内[単行本・未収録連載]の最後の仕事として記載のある『球型巷談』で対談した尹隆道&成美子夫妻の出版者で、最近になって本の内容をYouTubeで朗読したものを公開しています。


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