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「全日本歌謡選手権」の魅力とは?

昨日の2019年2月22日夜9時から放送された大阪・読売テレビ(ytv)の開局60周年記念ドラマ「約束のステージ」を見ました。番組の中で読売テレビとしての歴史に残る番組として「全日本歌謡選手権」という一般人だけでなく歌手として活動している人でも出演して10週勝ち抜けば自分のレコードを出す権利が与えられる番組の中で繰り広げられるドラマだったのですが、少々思っていたものとは違ったという感じでした。

というのも、「スター誕生」という同じようなオーディション番組の方が多くの人が知っていると思われる中、なぜ「全日本歌謡選手権」なのか? というところの答えをこのドラマから導き出すことは難しかったような気がします。

歌の上手い下手というのは聴いている人が評価すべきものだと思いますが、今回は主人公のお母さん役で出演した石野真子さんは、この番組にスター誕生に出る前に出演して落とされているのですが、その歌声と比べて今回出演した土屋太鳳さん、百田夏菜子さんの歌の実力はどうだったのかということをつい考えてしまいます。それは別に土屋さんや百田さんの事をディスっているのではなく、それだけ「全日本歌謡選手権」は出演者にとっては何を言われるかわからないくらい辛口の審査員を揃え、審査の厳しさに定評があったからです。

ドラマの中では毎回70点以上が合格で(審査員5人で1人の持ち点はそれぞれ20点)、10週勝ち抜けられればチャンピオンになるということが紹介されていたものの、勝ち抜くごとに合格のハードルは高くなるということはあまり伝わってきませんでした。というのも、番組から誕生した歌手3人を審査員役として出演させてしまったため、淡谷のり子さんや竹中労さんの人によっては厳しすぎて逆に敵意が湧いてきそうな辛口の審査員をキャスティングすることは難しかったのだろうとしか考えられないような気がします。

当時の事を知っている人だったら、まず当時の淡谷のり子さんや竹中労さんでも「あんたの歌は嫌い」だとか、「君は歌手には向いていないよ」というような厳しい台詞を出しようのない歌い手を出演としてオファーし、イメージとして当時の審査員に似せたキャスティングの中でも勝ち抜けるだけのポテンシャルを持った歌える役者を出して勝負しなければ、番組を見たことがない人の「全日本歌謡選手権」に対する印象というのは、かなり簡単に10週勝ち抜けそうな番組だと思われても今回のドラマの内容では致し方なかったと個人的には思います。

今の日本はドラマの中であってもかつての「全日本歌謡選手権」の雰囲気を伝えることは不可能なのだという事を感じたという点では見た収穫のあったドラマではありました。そうなるとさらに未来を指向する中での日本の音楽シーンというのは、ことテレビに出演して歌う事については、本当に実力のある人が出られないことが続くのではないか? と心配にもなります。まあ今の世の中はインターネットもありますので、そこからセルフプロデュースでも多くの人に歌を聴かせることはできる分、未知の才能が世に出やすくはなっているとは思うのですが、今のテレビ(地上波)がフィクションの中でも忠実に当時の「全日本歌謡選手権」を再在できなかった点に関しては、本当に残念なことだと思っています。


2019年2月22日夜9時からytv(日本テレビ系列)で「全日本歌謡選手権」再び?

今回の情報は直接竹中労さんについての出演情報ではありませんが、竹中労さんをご存知の方ならおっと思われるのではないかと思います。今年が大阪読売テレビ(ytv)開局60周年ということで特別番組として同局の歴史をひもとく上で重要な番組、参天製薬提供の「全日本歌謡選手権」をメインにしたドラマ「約束のステージ」が放送されるというのです。

設定が現代から昭和50年にタイムトリップしてしまった歌手志望の少女に土屋太鳳さんが扮し、その母親役に自身が全日本歌謡選手権への出場経験を持つ石野真子さんが扮しています。タイムトリップ先でコンビを組む少女にももいろクローバーZの百田夏菜子さん、二人をプロデュースしようとする元歌手の男に向井理さんという、今のドラマ界での目を引くキャストを押さえていて、さすが特別ドラマという感じがします。

ちなみに、「全日本歌謡選手権」のプロデューサーには石黒賢さんが扮し、審査員のキャストに番組からデビューした人達が名を連ねているというのもドラマの見どころになっています。審査員として出演するのが五木ひろしさん、八代亜紀さん、天童よしみさん、城みちるさん(彼は「スター誕生!」出身)で、山本譲二さんだけが本人役での出演だとのこと。

キャスト的に気になるのが、昭和歌謡に深い憧憬がありラジオの番組も持っている半田健人さんの名前があることですが、まさか彼が頭を丸めて竹中労役をするわけがないでしょうが、そうなると竹中労や淡谷のり子、船村徹、そして肝心の山口洋子(ここだけ敬称を省かせていただいております)のいない「全日本歌謡選手権」をやるのか? と思いますが、見もしないで文句を言うわけにもいかないので(^^;)、来週の放送をとにかく見てから改めてまた何か書こうかなと思っています。

ともあれ、テレビを見ている多くの人に「全日本歌謡選手権」という番組の詳細が紹介されるだけでも現代のプロダクション主導の状況に一石を投ずる可能性があるので、放送を期待して見たいと思っています。

・番組公式ベージ
https://www.ytv.co.jp/yakusoku/


岡留安則さんの沖縄に骨を埋める決意

今回の岡留安則氏の訃報を、ネットニュースで知ることになりました。個人的なつながりはない方ですが、竹中労事務所を通じて様々な場に同席させていただけることはあったので、こちらが一方的に存じ上げていたに過ぎないながらも、その動向については常に気になる方でした。

竹中労さんとの関係で言えば、竹中労さんがお亡くなりになるまで岡留安則氏が編集長を務められていた月刊スキャンダル誌「噂の真相」で「竹中労のページ」というコラムを執筆されていたということで、当時事務所を一時期でしたが東京に移していた場所で行なわれた仲間うちでの故人を偲ぶ集いにお呼びして参加されました。その会にはありし日の樹木希林さんもやってきて、岡留氏はその様子を写真撮影し、ちゃっかり「噂の真相」誌上で紹介していて、有名雑誌のえげつなさというのを一般人が見る目線で感じさせていただいたこともありました。

その後、竹中労さんが想いをはせた沖縄に移住し、那覇市内でスナックを経営していた頃に一度仲間うちでおじゃましたことがありました。その時は沖縄で行なわれた竹中労さんの没後20年のコンサート終了後の関係者の二次会で利用したのですが、店内にあった女性アルバイト募集の文句が記憶に残っています。というのも、岡留氏のお店には東京から様々な名のある人がやってくるので、そうした人と実際に会って話したり色んなやり取りをすることがきっと役に立つのでは? という「口説き文句」のような募集文に、本当に野望のある女性がここから這い上がってきたらどうなるのだろうかとあらぬ妄想をしてしまったわけです。

岡留氏はこのように、自分のお店を中心にして人材を集め、「噂の真相」休刊後も新たな活動を模索していたように思います。米軍基地の有無について県民の信を問う県民投票を目前に控えての離脱はご本人が最高に無念だったことでしょう。岡留氏の事を悪く言う方も少なくないと思いますが、いわゆる本土で上から目線で沖縄の問題を見て意見するのではなく、沖縄に腰を落ち着けて活動していた岡留氏の行動について個人的には批判することはできません。さらに、竹中労さんや竹中労さんのアシスタントの石原優子さんと同じく沖縄の海に還るということになると、改めて沖縄という場所がそれぞれの方にとって特別な場所であったのかという風に感じるところです。故人のご冥福をお祈りいたします。