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竹中労さんとパチンコ その3 ギャンブルそのものを楽しめる「達人」

ここまで竹中労さんのパチンコとの付き合いについて、その特徴を挙げてみますと、台の種類はデジパチ、台に向かう時間は事のついでの数十分、さらにもう一つが玉を現金に換えないで全て煙草という景品に換えているということです。

最近では玉と現金を交換するのに2つの交換レートがあったりしますが、当時は一つのレートしかなく投資金額が回収金額を上回るくらい勝つことというのはよほど大当たりが続かないと難しいものでした。

しかし、景品に換える場合というのは2500発で1万円分が上限の景品という風にになっていて、煙草の場合はディスカウントして売ることのできない専売品として今も存在しているので、煙草一箱を現金として数えれば勝ち負けのボーダーラインはかなり下がることが予想されます。

ただ、竹中労さんの行なったパチンコの楽しみ方というのは「勝負」は「勝負」でも決してお金を儲ける事が目的ではなかったでしょう。これは竹中労さんのアシスタントの方に聞いたことですが、パチンコで勝って交換したタバコがたまっているのにさらにパチンコで勝っても同じようにタバコに換えてくるので自宅にストックされているタバコが増えるばかりで、その引き取り手を探すのに苦労していたこともあったそうです。そうなると、竹中労さんにとってはパチンコで金銭的にあぶく銭を得ようとする気は全くなく、さらに景品を取ること自体にもそれほど興味がなく、単純にゲームとしての勝利を求めるがためにやっていたのではないかという感じがします。

一番最初に紹介したパチンコ雑誌のアンケートでも、庶民の娯楽としてパチンコは生き残って欲しいという希望を竹中労さんは書いておられましたが、決して時間もお金も仕事に影響を与えるほどつぎ込むことなくほどほどに楽しむことこそがパチンコの奥義であるのだとは良く言われるところです。何の知識もなくパチンコ屋さんに通い続け、数十万の負け分を取り戻そうとして数百万の負けになるようなケースは、お店にとっては実にいい「お客様」で、パチンコと付き合う中でも最悪のパターンでしょう。

ただ今後、そんな「いいお客さん」がさらに奈落の底につき落とされるケールが発生する可能性が出てきました。日本でもカジノをどうしても作りたい人がいるらしく関連法案が国会を通って将来のカジノを含めたリゾート計画が現実のものとなりつつありますが、もしそうした流れを受けて作られたカジノで、スロットマシーンがいつでもできるようになったとしたら、パチンコで数百万負けた人がその負け分を取り戻そうとして数千万以上なんて考えたくもない程の負けに急速に到達してしまう人が出てくるかも知れません。

この国は、競馬で勝ったお金にもその額が膨大になるときちんと収支報告をしなければ税金を取るような事をする国なのですから、公営をはじめとする国が主導するギャンブルというのはどちらにしても国にお金を貢ぐようなものです。その中でもパチンコは庶民のギャンブルと言われたのですが、それでも勝ち続けるのは容易ではなく、昔から決まった店をねぐらに生活費を稼ぐパチプロと呼ばれるような人でも毎日続けて勝つことはまれで、何とか月のトータルで十数万勝てるかどうかという厳しさを受け入れて毎日の収支を計算しながらパチンコをしています。私自身も一時期パチンコにはまったことがありましたが現在は以上のような理由からギャンブルの世界からは足を洗っているのですが、それは一度はまるとギャンブル依存症にまっしぐらになってしまうかも知れない恐怖の裏返しでもあります。

改めて竹中労さんのパチンコとの付き合い方を見ていくと、凡人だと大勝ちすれば現金に替えてしまいたくなるところ、あくまで景品を取るだけと割り切るところなど賭け事の恐さと面白さを良く知っている達人だと私には思えます。このような才能は凡人ではとても真似ができるものではないので、くれぐれもギャンブルにはまって現在の日本の特権階級の懐をあたためるような負け方をしない程度に楽しめないなら、一切手を染めないのがいいかと思います。


竹中労さんとパチンコ その2 良い台を見分ける竹中労さんの秘訣?

前回はスロットマシンを回すように数字を回転させることで大当りを出すデジパチに絞って竹中労さん独特のパチンコ必勝法について考えてみましたが、この種のパチンコ台はお店の方で不正に確率の偏った「裏ロム」を使っていない限り、どの台も当る確率は同じなはずです。その確率については台のスペックを紹介しているものを見れば、通常時と確変時の確率が表示されています。ただ、その確率通りに行かないのがパチンコというゲームの面白いところで、大ハマりする台があるから出まくる台も出るという風に考えると、台をお客の立場で見分ける方法は一つしかありません。

それは、同じお店でオープン時から入り、全ての台の大当たりデータをチェックして、どの台がどのくらいの頻度で当っているのか、まだ当たりが止まっていない台はどれか、そろそろまとめて出てきそうな大ハマりの台はどれかなど常に大当りデータについての情報集収をした上で出る周期になっていると思われる台ばかりを狙うことです(そこまでやっても確実に大当りが出る台がわからないことも当然あります)。

これは、ふらっとお店に来て適当な台に座ってもわかるはずもなく、一つ考えられることは既に竹中労さんがそのお店をねぐらにしているパチプロや店員に顔が効き、まだ出そうな台を教えてもらっていたか、初めて入る店でもルポライターとしての取材よろしく世間話などしながらそれとなくお店の主らしい人間とコンタクトを取り、その上で座る台を決めているのではないかと思うわけです。

どんなお店でも普通に座って打つよりも確率が高い台を選ぶためには当然竹中労さん自身の長年のカンというか経験に基づく行動というのもあったと思いますので、あらゆる台についての情報を収集しながら、できるだけ負けない台を狙うということがどこでもできていたのが竹中労さんのパチンコとの付き合いだったのではないかと私は考えます。

さらに、一回のパチンコにかける時間が短いという事も忘れてはいけません。良い台を長時間打ち続けたとしても倍々ゲームで儲かるものではない事もデジパチについては言えます。短時間でドル箱を複数出してもそこで止めないで続けたがゆえに、出した分以上につぎ込んでしまったという事を経験した方なら、短時間にさっと儲けて帰っていく竹中労さんの打ち方には勝負師としてのものを感じたのではないでしょうか。

ただ、そんな竹中労さんでも投資額以上にはまってしまう事も無いとは言えません。元々パチンコは景品をさらに現金に交換する中で中抜きされるということがあり、お店や交換業者にも利益が上がるようなお客に不利な条件で勝負しているわけですから、めったに負けないという事が真実であったとしたら、竹中労さんはインチキをして玉を台から抜いていたのではないかという疑惑も出てこようというものです(^^;)。

次回はさらにもう一つ、竹中労さんのパチンコに対するポリシーから勝ち続けられる秘訣ではないかと思える事について考えてみたいと思います。(つづく)


竹中労さんとパチンコ その1 本人の語る「パチンコの腕前」

私が、もし竹中労さんと直接話をして、何を聞いてもいいよと言われた場合につい考えてしまった事の中の一つは、ここを読んでいる皆さんからすると大変下世話な事で申し訳ありませんが、「パチンコの台を見分ける極意は?」というものでした。

私がまだ竹中労さんの事をほとんど知らない頃、たぶん1985年頃だったと思いますが、全国の特定のパチンコ屋さんに置かれているミニコミ紙「王様手帖」という小冊子がありまして、その中の有名人・著名人に聞くパチンコについてのアンケートの中に肩書が「ルポライター」であった竹中労さんの名前を発見したことがありました。

アンケートの中味はパチンコの現在と未来についてのものでしたが、その中で竹中労さんは吸っているタバコをほとんど買ったことがなく、それは全てパチンコの成果ですと書いていたのが印象的でした。さらに、パチンコの未来については、せめて自分が生きている間までは盛んであって欲しいというような事が書いてありました。

その後、もう少し詳しいパチンコについて書いたものを読む機会があったのは、ダ・カーポの連載「テレビ観想」の中のもので、当時の社会党のスポンサーがパチンコ業界だったという報道を受けて、自分とパチンコとの関係について少々脱線気味に書かれていて、興味深く読んだことを覚えています。

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さてお立会、小生(やつがれ)は煙草を買ったことがない。もっぱらパチンコ、月に二度ほどの外出のさい、十五~三十分ほどのわずかな暇をみつけて、店をえらばす最低五十箱はかせぐ。
(中略)
台を見極める秘訣があるのだが、誰にも教えない。とまれ、酒を断ってから煙草の量も激減して日々十本、八月の戦果のみで年間をまかなえる。独りではとうてい吸いきれず、ニコチン中毒気味の側近や来客を潤しておるのダ。
(ダ・カーポ No.190「テレビ観想」第12回 夢坊主辻説法(2)より)
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どの種類の台を打っているかという事については中略した文章の中に「打ちこみ二十発、555三連勝!」とあるので、当時のデジパチでスロットでも一般台でも一発台(権利物)でもないということになります。この種の台は今でも主流だと思うので、台を見極める秘訣があったのならぜひ教えていただきたかったと改めて思う次第です(^^;)。

ただ、冷静に考えてみるとデジパチで必ず勝てる人はパチプロを含めていないのではないかと考えることもできます。もしかしたら上に引用した内容についても、竹中労さん独特のハッタリかとも考えられます。でも連載の文章の中では日付まで書いて戦果を報告している以上、何らかの必勝法を持っていたと考えるべきで、今回は無謀にもその「必勝法」について考えていこうと思っています。

まず、何百回何千回と回しても大当たりが出るとは限らないデジバチを、全く何の情報もない中で出そうな台を選ぶには、入口に近い台がいいなどと生半可な知識ではとうてい攻略は不可能で、一般的にはいわゆる玉の持ちが良い台を選べるかどうかにかかっている部分はあります。回転開始チャッカーに良く入ったり、他の入賞穴に入りやすい釘の並びになっているかどうかは釘を見ることができればわかるかも知れませんが、釘をきちんと見られるならば竹中労さんがパチンコを楽しんでいた当時なら一発台や権利物を狙う方が確実だったでしょう。

でもデジバチ専門ということになると、単に釘の工合でない別の判断の仕方があったと見るべきでしょう。そのように考えていく中で、実に竹中労さんらしい良い(すぐ出る)台の見分け方についての仮説が考えられるのです。(つづく)