私が、もし竹中労さんと直接話をして、何を聞いてもいいよと言われた場合につい考えてしまった事の中の一つは、ここを読んでいる皆さんからすると大変下世話な事で申し訳ありませんが、「パチンコの台を見分ける極意は?」というものでした。
私がまだ竹中労さんの事をほとんど知らない頃、たぶん1985年頃だったと思いますが、全国の特定のパチンコ屋さんに置かれているミニコミ紙「王様手帖」という小冊子がありまして、その中の有名人・著名人に聞くパチンコについてのアンケートの中に肩書が「ルポライター」であった竹中労さんの名前を発見したことがありました。
アンケートの中味はパチンコの現在と未来についてのものでしたが、その中で竹中労さんは吸っているタバコをほとんど買ったことがなく、それは全てパチンコの成果ですと書いていたのが印象的でした。さらに、パチンコの未来については、せめて自分が生きている間までは盛んであって欲しいというような事が書いてありました。
その後、もう少し詳しいパチンコについて書いたものを読む機会があったのは、ダ・カーポの連載「テレビ観想」の中のもので、当時の社会党のスポンサーがパチンコ業界だったという報道を受けて、自分とパチンコとの関係について少々脱線気味に書かれていて、興味深く読んだことを覚えています。
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さてお立会、小生(やつがれ)は煙草を買ったことがない。もっぱらパチンコ、月に二度ほどの外出のさい、十五~三十分ほどのわずかな暇をみつけて、店をえらばす最低五十箱はかせぐ。
(中略)
台を見極める秘訣があるのだが、誰にも教えない。とまれ、酒を断ってから煙草の量も激減して日々十本、八月の戦果のみで年間をまかなえる。独りではとうてい吸いきれず、ニコチン中毒気味の側近や来客を潤しておるのダ。
(ダ・カーポ No.190「テレビ観想」第12回 夢坊主辻説法(2)より)
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どの種類の台を打っているかという事については中略した文章の中に「打ちこみ二十発、555三連勝!」とあるので、当時のデジパチでスロットでも一般台でも一発台(権利物)でもないということになります。この種の台は今でも主流だと思うので、台を見極める秘訣があったのならぜひ教えていただきたかったと改めて思う次第です(^^;)。
ただ、冷静に考えてみるとデジパチで必ず勝てる人はパチプロを含めていないのではないかと考えることもできます。もしかしたら上に引用した内容についても、竹中労さん独特のハッタリかとも考えられます。でも連載の文章の中では日付まで書いて戦果を報告している以上、何らかの必勝法を持っていたと考えるべきで、今回は無謀にもその「必勝法」について考えていこうと思っています。
まず、何百回何千回と回しても大当たりが出るとは限らないデジバチを、全く何の情報もない中で出そうな台を選ぶには、入口に近い台がいいなどと生半可な知識ではとうてい攻略は不可能で、一般的にはいわゆる玉の持ちが良い台を選べるかどうかにかかっている部分はあります。回転開始チャッカーに良く入ったり、他の入賞穴に入りやすい釘の並びになっているかどうかは釘を見ることができればわかるかも知れませんが、釘をきちんと見られるならば竹中労さんがパチンコを楽しんでいた当時なら一発台や権利物を狙う方が確実だったでしょう。
でもデジバチ専門ということになると、単に釘の工合でない別の判断の仕方があったと見るべきでしょう。そのように考えていく中で、実に竹中労さんらしい良い(すぐ出る)台の見分け方についての仮説が考えられるのです。(つづく)