インターネットで即時発信ができるようになり、雑誌にしか書く機会のないライターの方々の状況は大きく変わりました。それまでは、特に月刊誌に書いていたライターの方はネタ選びに大変だったと思います。正にそうした恨み節のような文章を竹中労さんが書いている文章がありますので、最初に紹介しましょう。
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本誌(引用者注・月刊誌「新雑誌X」のこと)の生命は情報であるからして、ペンは渋滞するのだ。早い話、下版をした翌る日に三浦和義クンが犯行を告白したり、グリコの一味が逮捕されたら、それこそ裏もオモテもない。ホッカホッカの話題には、したがって触れるべからず。ヒョーロンカ風の一般論、当ろも八卦の探偵ごっこ、筆者は詰まらない読者も面白くない。
(単行本「人間を読む」(幸洋出版)「湿った火薬に火をつけてみよう」111ベージより引用)
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それまでも新聞へのコメントを求められた場合以外には、直接竹中労さんが出演するイベントに出向く以外には最新ニュースについての竹中労さんのコメントは、読者の方々は知ることはできなかったわけです。それは読む側だけでなく発信したい時に発信できない竹中労さんにとっても歯がゆかったはずです。
そこで、問われるのは竹中労さん本人というよりもその周りで竹中労さんを助ける人達の存在になるでしょう。その内容は口述筆記の形になるのか簡単なものでも原稿として書いてくれるかはわかりませんが、インターネット黎明期にはまだ自分でHTMLを書いてホームページを作る必要に迫られたのて、かなり周りの人にもストレスがたまってしまったかも知れません。そう考えると、ホームページを作ってまで連日ページを更新できたかと言いますと難しいだろうとしか言えないでしょう。
ただ、もし外部に竹中労さんの発信力自体に期待をし、日々更新の電子メディアの執筆者として竹中労さんのネット発信をお膳立てしてくれる人がいたら、かなりネットでも早い時期から発信できていたかも知れません。
なお、現状のようにブログで簡単に発信できるような環境が整っていれば、竹中労さん自体が書き込みをしなくても、竹中労さんの事務所のアシスタントの方一人でも何とか発信はできたのではないかと思います。もっと言うと、ネットで発信した著名人の発言について自サイトであるか、その方がコメント可能なブログなどを開いていた場合はそのコメント欄を使ってバトルまでやっていた可能性も考えられますが、その場合もアシスタントの仲介を通じてバトルを行なったと思うので、自分で勝手に熱くなってわけがわからない状況になる前にアシスタントの方がたしなめたと思います(^^;)。
また、アメリカの大統領選挙でもその効果を実証したTwitterについては、うまく使えばファンを爆発的に増やすことも不可能ではなかったでしょうが、恐らく竹中労さんには自らの信者のようなファンを爆発的に増やす心づもりはなかったのではないかと思います。今でも連日Twitterで「竹中労」と検索を掛ければ多くの発言が今だにヒットする竹中労さんなので、毎日発信を続けていればかなりのフォロワー数をを得ることになっていたでしょう。個人的には竹中労さんのアカウントがあればすぐにフォローして新刊情報やイベントガイドだけでも発信してもらえれば有難いという事はありますね。
もし、個人的に竹中労さんのネット発信にからませていただくことができていたとしたら、ネット発信のために新たな原稿をお願いするのは気が引けるので、「ニュース・バトル延長戦」とでも銘打って、定期的に竹中労さんにカメラの前で気になるニュースについて喋ってもらいYouTubeあたりに流せば、竹中労さんにも負担を掛けずに広くその主張を多くの人には見てもらえるのではないかと思います。特に現在でも同じような状況で、インターネットは苦手ながらも「発信させたい人」がいる場合は、その主張についてとりあえずビデオに録画してデータ化しておくことを強くおすすめします。
ここまでは、ネット上の執筆環境について考えてみましたが、それで終わりではありません。発信すれは反響があり、その反響を竹中労さんがどうとらえ、その後の行動につながっていくかについても考えなければならないでしょう。次回はもし、竹中労さんが現在でもネットでよく見掛ける重箱の隅をつつくようなネット上の発言に対する批判を受けたらどうなってしまうだろうかという、かなりシビアなところに突っ込んで考えてみます。